プラスティック幻想 – ビーバップ・デラックス

中学生のころジャッケトを見て買おうかと迷いましたが、雑誌のレコード評で酷評されているのを見て買うのをやめた記憶があります。
今と違って私が中高生の頃は音楽はLPレコードを買うか、友人の持っているレコードをカセットテープに録音してもらうか、FMのエア・チェックぐらいしか選択肢が無かった時代でした。
なので、どのレコードを購入するかは結構深刻な問題でした。少ないお小遣いのなかから音楽雑誌代やレコード代、弦やエフェクターの購入などのお金をやりくりしなければならなかったからです。まだ、サブスクやYoutubeどころかレンタル・レコードすらなかったのです。
実際にこのレコード(LP)を購入したのは80年代半ばの大学生になった頃でした。バイトなどして割と懐具合がこなれてきたころの事です。町田にある某有名プログレ・レコード店で7,8枚初めての『大人買い』をした時の一枚がこれです(このバンド自体はプログレ・バンドではありません。念のため…)
実家に当時のまま残してある僕の部屋の壁には(なんだか若くして死んでしまった人みたいですね)このジャッケットを入れたレコード額が長いこと掛かっていました。
70年代後半の『これからニューウェィブを通過し、きらびやかなモダン・ポップ(後のニュー・ロマンティックスへ続く道)』がはやってゆくのを予感させるようなジャッケットと雰囲気をたたえています。
淡々と始まるA-1 Electric languageは盛り上がることなく終了し、シンセの残響音が耳に残りますが、スネアドラムの音が割れていることばかりが僕には気になりました。レコードの盤質が悪いのかとも思いましたがそれは21世紀に入ってから購入したCD(ベスト版)で確認してもやはり同じものでした。
ジャパニーズっぽいタイトルや雰囲気を入れた曲があるのはこのころの流行でしょうか?コーギスのクリスマス・イン・ジャパン、10CCのブラッディーツーリストに入っていたTokyo、ストラングラーズのアウト・サイド・オブ・トーキョー、ちょっと時代は下りますがニック・ロウのガイジン・マンetc…
10CC的なひねた感性と、グリッター・サウンドの影響を引きずりながらも時代に即した、というより半歩ぐらい中途半端な先取りした感性がBE-BOPの良いところでしょう。アルバムを通して聞くとビル・ネルソンという人は(日本ではあまり有名ではないですが)トータルで音楽を捉えている才人なのだなぁと言うことが解ります。
10ccやスタックリッジ/コーギス、場合によってはトッド・ラングレン辺りを好きな人には理解されるような気がします。何にせよ日本でのビーバップ・デラックスの評価は低すぎると感じるのは僕だけでしょうか?
でも、このアルバム聴くと何故か『フロック・オブ・シーガルズ』を連想しちゃうんだよなぁ。何故かは解らないけど。
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