バニシング・ポイント - リチャード・C・サラフィアン (監督)

小学生の終わりごろ、この映画をテレビの洋画劇場で見て衝撃を受けました。まだビデオとかが一般に普及していなかったころで、何回も見ることができなかったのが残念でした。
当時は音楽部分が非常に好みで『自由なアメリカ…でも何かが壊れはじめる予感がする…』そんな感じが乾いた砂漠の風景と描かれていたと思います。
『ヒッピー・ムーブメントの中にある風景としての人々』が画面の向こう側にあり、昭和な日常生活の中にいる日本人の少年にとっては全く違った別の世界の手触りを濃厚に感じられました。
テレビの洋画劇場では冒頭で映画解説者の淀川長治さんが『この映画は現実部分がはじめと終わりの数分しかなく、映画の残りの部分は主人公の一瞬の幻覚でしかない』といった意味のことを言っていたのを強烈に覚えています(本当に言っていたかどうかは古い記憶なので責任持てませんが)。
いまの時代になってDVD/ブルーレイやサブスクで簡単に購入できるよになったのは、なんともうれしい限りです。例によってAMAZONで購入したので探す手間もなしです。
余談ですが、当時何故かこの映画の音声を当時カセットテープで録音していて、そのテープをBGMにして読書とかしていました。何か別の良いものと勘違いしていたのでしょうか。
ちなみに何回も聞いたおかげか僕は今でもいくつかの日本語吹き替えの台詞を暗誦できます(コワルスキーが乗っていたダッジのプレート・ナンバーも暗唱できる)。
だからと言ってそれらが僕の人生に何らかの利益をもたらすものではないので、こういったくだらない知識や経験が積み重なって自分ができているのかと思うとなんだか不思議な気分になります。

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